ジーキル博士とハイド氏 スティーヴンソン
1967年2月28日 田中 西二郎 訳 新潮文庫
二重人格の代名詞ともなっている、このあまりにも有名な作品ですが、スティーブンソン原作とは知らなかった咲紗。
なんてこと!なんて勉強不足。
「宝島」みたいな冒険ものばかりだと思っていました。
まだまだ修行が足りません。
この作品は映画でも見たことはありましたが、原作を読むのは初めてでした。
また、翻訳を勉強しているものとしては、その訳文も気になるところです。
生まれながらの二重人格で、自分自身の中のもうひとりの人格を切り離そうと考え、薬を発明し、ハイドを創り上げたジーキル博士。
最初はジーキルとハイドをうまく使い分け、ハイドになって様々な悪を楽しんだジーキル博士でしたが、だんだん薬を飲まなくてもハイドに変身してしまうようになっていきます。
調合も上手くいかなくなって、ハイドのまま戻らなくなってしまい・・・・
待っているのは破滅のみです。
人間の常として、悪い心を自分で完璧にコントロールすることなどできるわけがありません。
必ず暴走します。
必死にあがくジーキル博士が哀れと言えば哀れです。
が、不思議と同情をひきませんね~、この人は。
ハイドの時があまりに悪すぎるのと、そのハイドでいる自分を楽しんでいたのが悪いですね。自業自得です。
この人のせいで、親友さえ死なせることになってしまうのですから。
しかしロンドンという街は、本当に霧と雨の町ですね。
読んでいても、天気の悪いシーンばかりでした。
なんとなく暗いイメージがありますね
先日ご紹介した「クリスマス・キャロル」も、ホームズもそんな感じです。
霧と雨で薄暗く、どよーんとした印象をこちらに与えます。
ポワロ物はあまり暗い感じはしないのですが・・・。
そして昔の外国小説というのは、抽象的なやけに飾り立てた文章が多いですね。
翻訳は本当に大変そうです。
今回の訳は比較的わかりやすかったのですが、それでもあまりにも抽象的すぎる表現のところは、やはりよくわからなかったです。
難しいですね~、翻訳って。
この作品、思ったよりもずっと短い作品でしたが、1ページ目から引き付けられ、あっという間に読んでしまいました。
さすが、歴史に残る人気作品だけのことはありました。面白い!
真に面白い作品というのは、1ページ目、それも読み始めてすぐに面白いものなのです。