クリスマス・キャロル チャールズ・ディケンズ
2009年10月23日 池 央耿 訳 光文社古典新訳文庫 kindle
実はこの作品は、「河出書房新社 世界文学全集6 ディケンズ 1961年3月30日版 皆河宗一訳」で途中まで読んだのです。
が、あまりの翻訳の意味の分からなさにほとほと嫌になり、ついに上記の別の訳者のものに変えて読み直したのです。
母の若い時の本ですから(1961年ですからねぇ)、あまりにも古すぎるのが悪いのか、それともディケンズが悪いのか・・・。
この話はあまりにも有名で、子供のころクリスマスには必ずアニメでやっていたし、何度も映画化もされています。
だから内容は良く知っているのでまだましなのですが、本当に全く意味の分からない箇所がいくつもあって、「はあ?ちょっと待ってよ」と思って何度も戻って読み直したりしました。
新訳の方を読んでみると「ああ、そういうことか」と分かることが多かったです。
ただ新訳の方が全て優れているかと言えばそうでもなく、旧訳の方がいいという個所もいくつかありました。
別の翻訳者が、「修辞的装飾の多い、めかしや気取りの多い長文を一体どんな風に読める日本語に移したものか、ハタと困惑した」と書いているところを見ると、ディケンズの文章はきっと、翻訳者泣かせなのでしょう。
たしかに読んでいても、これ相当訳しづらかったろうな、と思うところが多かったです。
翻訳の勉強を少しかじっている咲紗にとって、いい教訓となりました。
翻訳物って難しいです。
訳によって、内容や受ける印象が変わってしまうのです。
昔、「マディソン郡の橋」というベストセラー小説がありましたが、ちっとも読んでも面白いと思えませんでした。
ところが映画にすると、こんないい話だったのかと感動し、泣いてしまいました。
あれも翻訳者次第だったのではないでしょうか。
もちろん映画監督や俳優さんたちが優れていたということもありますが。
絶対に最後まで読むというルールを自らに課していますが、一つ付け加えることにしました。
あまりにも翻訳のせいで訳が分からない場合は、別の訳のもので読み直し、分からない方は途中でやめてもいいことにしました。
ところで、このクリスマスキャロルですが、舞台はロンドン、クリスマスにはガチョウを食べ(七面鳥の場合もあるようです)、クリスマスプディングをつくるのが習わしだそうです。
ガチョウと七面鳥って、全然味が違うのでしょうか。
ホームズにも、ガチョウにまつわる話が確かありました。あれもロンドンですね。
幸せは自分の心がつくるものという、大きな教訓を与えてくれる作品です。
まさに時代を超える名作と言ってよいと思います。