黒猫館の殺人 綾辻 行人
1996年6月15日 講談社文庫
いきなり余談ですが、咲紗がはまっているゲーム「文豪ストレイドッグス 迷ヰ犬怪奇譚」に、綾辻先生が出て来るのです。
さて、本題。
ずっと以前、咲紗がまだ綾辻先生の「館」シリーズのことを知らなかったとき、この作品と、この次の「暗黒館の殺人」を図書館で借りて読んでしまったのです。
「館」シリーズは最初から順に読まなければならない、というルールを知らなかったので、大失敗でした。
もちろん、内容はわからないということはなく、このルールを知らないなら知らないで別にいいのですが、やはりなんとなくこの世界に入りきれなった感がありました。
知らなかったとはいえ、残念なことをしました。
順に読むことで、この作品の楽しさを十分に満喫するチャンスを失ってしまったからです。
まだこの「黒猫館」はマシですが、次の「暗黒館」はもう順番でなければ全く面白さ半減です。
近いうちにこの「暗黒館の殺人」もご紹介させていただく予定です。
今回再読しましたが、大分細かいところは忘れてしまっていたし、鹿谷や河南というレギュラーたちのことも、当時よくわからなかったことが今読むとわかります。
それなりに楽しみましたが、「館」シリーズをまだ読んでいない方には、ぜひ順番に読むことをお勧めいたします。
ところで、この作品で最大の謎となるところは、いったいこの「黒猫館」はどこにあるのか、ということです。
このパターンは初めてですね。
そしてその場所は、かなり驚くところにあります。
中村青司、そこまでいくかという感じです。
それがわかってしまうと、物語の最初から、いたるところにそれと分かる伏線がはられていたことに気づくのですが、知らずに読むと絶対わかりません。
緻密に計算された作品と言ってよいでしょう。
また、「黒猫館」は先日ご紹介した「不思議の国のアリス」をモチーフにしていて、興味深いです。
窓やドア、家具、全体的な作りが「アリス」になっています。
ちなみに、ルイス・キャロルの本名って、ドジスンというのですね。知りませんでした。
「不思議の国のアリス」をご紹介した時にも書きましたが、どうもこのルイス・キャロル、13歳以下の少女にしか興味がなかったとのこと。
なのでもしかしたら、「不思議の国のアリス」は当時7歳の、知り合いの子供のアリスちゃんに話してあげたものなのですが、もしかしてアリスちゃんに対して下心があったのか・・・・・?
わ~、やだやだ。怖いよぉ。
気を取り直して・・・
「アリス」は、「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」の2作品がありますよね。
もちろん、この関連性を無視する綾辻先生ではありません。
そこはぜひ読んでいただきたいところですが、「黒猫館」はとってもオシャレで素敵な館であり、ぜひ一度見てみたいものですね。