ぶたぶたさん 矢崎在美
ん? なんだこれは・・・?
かわいいぶたのぬいぐるみが、生きて動いている。
しかも、中年のおじさんで、妻と二人の娘がいる(???)
そして、いろんな職業に就き、いろんな場所に出没します。
なんだ、なんだ、なんだ・・・ファンタジーなのかな?これは。
呼んでいるこちらも戸惑いますが、本の登場人物(人間)も戸惑いを隠せません。
短編なのですが、どの話も、話の中盤まで、登場人物がぶたさんにびっくりしている、いや、しまくっている、と言った方がいいかな。
ぶたぶたさんは、あるときは執事喫茶(なんだそれ?)の執事、ある時は刑事、そしてまたある時は、トレッキングのボランティア・・・と忙しい。
そしてなにをやらせても、なかなか優秀で、活躍を見せるのです。
そして子供たちにとっては、いいお父さんなのです。
娘が学校の作文に、「私のお父さんはぶたのぬいぐるみです」と堂々と読み上げます。
もちろんちゃんと授業参観にも出席します。
娘たちは父親がぶたのぬいぐるみであることに疑問を抱いていないようです。
そして奥さんはどう思っているのか、一切記述がなかったのでわかりませんが、きっといい夫なのでしょう。
そしてこのぶたぶたさん、読んでいるうちに妙に味わい深いキャラになっていきます。
何しろ中身はおじさんで、話すことも落ち着いた大人の対応を見せるのです。
登場人物たちも、ぶたぶたさんの優しい心に癒され、ぶたぶたさんに心を開いていきます。
そしてハッと気づくと、ぶたのぬいぐるみであることを忘れ、ぶたさんに魅せられていくのです。
なぜ、ぬいぐるみが生きているのか、なんてことはどうでもよくなります。
ぶたぶたさんは、ぶたぶたさんなのです。
1日で読める量なので、気軽に楽しめる一冊です。
また、シリーズとしてたくさん出ているようですので、そちらもぜひチェックしてみたいと思っています。
そう、最初は戸惑いますが、いつのまにかまたぶたぶたさんに会いたくなっている自分に気づくのです。
ぶたぶたさん、またどこかでお会いしましょう。
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