カササギ殺人事件(上)(下) アンソニー・ホロヴィッツ 山田蘭訳 創元推理文庫
2019年本屋大賞翻訳部門第1位作品。
珍しく、作中作作品となっています。
上巻が作中作、下巻が実際に起きた事件となっています。
綾辻行人著「迷路館の殺人」もちょっとそれっぽかったですよね。
上巻の作中作で起きた事件の結末の章が、ごっそり抜けているというところから始まるミステリーです。
作中作の方は、クリスティーのオマージュとなっています。
たしかに似たところが多いですね。
小さな村が舞台となっているとか、マザーグウスが出てきたりとか、ポワロのような探偵が出てきたいとか。
なるほど、こういう視点のミステリーもありか、と思いました。
書評では、上巻だけでいいのではという声もありますが、私は、下巻の現代に起こるミステリーがあってこその面白さだと思っています。
上巻の作中作は、とある小さな村で、地主の屋敷で働いていた女性が階段から転落死、そのすぐあとに、その屋敷の主人も、なんと首を切られて殺されてしまいます。
転落死した女性は、その数日前に、息子から「死ねばいいのに」とみんなの前で言われていたことが判明。
当然ながら息子に疑いがかかります。
はたして2つの事件は関係しているのか・・・
といったところで、最終章の原稿がなく、間もなく作者のアランが謎の変死を遂げます。
編集者のスーザンは、作者アランの死の真相を探りながら、最終章を探します。
しかしアランの人間性が分かっていくにつれ、アランは殺害されたのでは、とスーザンは思います。
そして、意外な事件の真相が明らかになります。
スーザンは最終章を見つけることができるのでしょうか・・・・・
全体として、外国の実際の作家の名前がたくさん出てきて、私はあまり詳しくないのですが、こういうのをもとに外国作品を読んでみるのも面白いかもしれませんね。
あと、クリスティーファンの私としては、なんだか楽しい作品となっています。
もしあまりクリスティーを知らない人には、このお話の微妙な良さがわからないかもしれませんね。
是非これを機に、クリスティーを読んでみるのも面白いと思います。
上巻では、マザーグウスの「カササギの歌」に合わせた内容となっていて、とてもよくできていると思います。
本屋大賞を受賞したのもうなずける、ミステリー好きを十分楽しませてくれる作品となっています。
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