改訂完全版 斜め屋敷の犯罪 島田荘司 講談社文庫
改訂版が2016年だけれど、実際にはもっと前の作品です。
御手洗潔シリーズは、やっぱり期待を裏切りませんねぇ。
これも、猛烈に面白いのです。
ピサの斜塔のように斜めに建てられた館で起こる殺人事件。
雪は降っていますが、別に孤立してはいません。
いわゆる変わり者の大富豪が建てた館に招待客が集まってきます。
そこで起こる残酷な連続殺人・・・。
良くある設定なのですが、島田先生が書くと一味も二味も、いや三味くらい違ってきますからすごい。
このシリーズは、トリックが凝りに凝っているのが特徴ですが、今回もあきれるほどものすごいトリック。
そもそもこの館がなぜ斜めに建てられているのか、全てはここから始まっているのです。
今回、御手洗と石岡さんは話の三分の一くらいしか出てきませんが、出てきたとたん今までの話が印象が薄くなってしまうくらいの存在感を発揮します。
それから、今回は人形が大きな役割を果たす一つとなっていますが、斜め屋敷の主の人形コレクションの部屋で語られるいろいろなことは興味深いですね。
古く薄汚れた人形たちは、微笑みをたたえてはいますが、内面の狂気を露出させ、見るものをぞっとさせます。
そしてその人形たちをにらみつけるかのように壁一面に飾られた天狗の面・・・・。
この天狗の面も、あとで重要な働きを担ってきますので、驚きです。
そして、リアルなからくり人形の数々。
ゴーレムという名の男の人形・・・。
けっこう怖いです。
この部屋、絶対夜中に一人で入れませんね。
今回も鮮やかな御手洗の推理力。
私は数々の推理物の中で、ワトソン役といえば、この石岡さんが一番好きです。
御手洗のぶっ飛んだ言動に肝を冷やしながらも、必死で彼をフォローしようとするところがかわいいのです。
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