おまけのこ 畑中恵 新潮文庫
若だんなシリーズ第4弾。
相変わらず・・・いや、ますます体の弱いのがひどくなった一太郎。
そして相変わらず、佐助と仁吉の献身的な介護・・・いや、面倒を見てもらって何とか日々を過ごしています。
今回もとっても面白いです。
同じ妖達からも、仏ですらも受け入れられない性質に生まれついた「狐者異(こわい)」
関わると、なぜか面倒を呼んでしまうため、疎まれてしまうのです。
彼は永遠に受け入れられることなく、この世をさまよいます。
優しい一太郎は、佐助たちの忠告も聞かず、彼を受け入れようとしますが、そんなちょっとした同情では彼の孤独と闇を救うことは出来ません。
また、前回出てきた厚化粧のおひなが、厚化粧をするようになった理由が判明、そしてその化粧をやめる決心をします。
彼女にとっての厚化粧は、自分を守る、自分の心を守ることだったのです。
そこで屏風のぞきが粋な活躍を見せるのです。
また、5歳のころの一太郎が出てきたり、小さな鳴家が大冒険をする羽目になったり。
一太郎は子供のころから利発だったのですね。
でもやっぱり体はとっても弱かったです。
それから、鳴家がとってもかわいいです!
どのお話も、この作品は一貫して、ほのぼのとしているのですが、反面、どうにもならない人の心というものが描かれています。
なので、どのお話も、全てがすっきりと解決するわけではないのです。
そういうちょっとした余韻を残すのが、このシリーズの特徴です。
ここが、きっとこのシリーズが人気である所以でしょうね。
人の心など、そう簡単に割り切れるものではありませんから。
心のどこかに、なんとなくひっかき傷を残す・・・人生とはそんなものなのかもしれません。
ひっかき傷をたくさん作りながらも、人間は生きていかなければなりませんから。
でもどのお話も、文句なく面白いです。
私にとっても、大好きなシリーズです。
最近、最新刊が出たようですね。
シリーズ20作目となる「もういちど」の販売を記念して「20周年スペシャルアニメ」が配信されました。
咲紗も見ましたよ。一太郎たちは、イメージぴったりですね。
でももう20作もでているとは。
20周年記念でもあるそうですから、1年に1作ということなのですね。
全部読むのは大変ですが、好きなシリーズなので頑張って読みたいと思っています。
最新刊「もういちど」まで読むのには、どれくらいかかることやら。
やっぱり順番に読みたいですからね。
しかし一太郎、ちょっとひ弱すぎます。
佐助と仁吉がいなかったら、とっくの昔に死んでいるでしょうね。
|
ランキングに参加しています。よろしければクリックをお願い致します。