あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続 宮部みゆき 角川文庫
でました!三島屋シリーズ五作目です。
いや、これも最高ですね!!!
この「三島屋」シリーズ、なんでこんなに面白いんでしょうか。
そしてついに!
ついにおちかが結婚!!!!
お相手はあの方ですよ、あの方・・・。
しかもその結婚のいきさつがまたおちからしいのです。
まず一話目「開けずの間」
これは壮絶で悲惨です。
行き逢い神という女の神(?)にたまたま行き逢い、願いをかなえてくれるというので家に入れたら、願いの代わりに人の命を求めるというものでした。
結局、一人を除いて一家は全滅してしまいます。
でも、なんでも願いをかなえてくれるという神が家にいたら、願いをかなえてほしいという欲望がわいてくるのが普通なのではないでしょうか。
二話目「だんまり姫」
これはほのぼのといいお話です。
もんも声という、もんも(化け物)を呼び寄せてしまう不思議な声を持つおせいが、その声のためにいろいろないきさつでお城に奉公することになります。
そこで出会った、子供の城主の霊と、その霊のせいで声を奪われている姫様を救うお話です。
おせいの奮闘がけなげで、心温まるお話でした。
三話目「面の家」
これは気持ち悪いです。
そもそもなぜこの家は、この面の守り役になったのでしょうか?
もう少し詳しく知りたかったな、と思います。
四話目「あやかし草紙」
瓢箪古堂、勘一の体験で、自分の寿命が書いてある不思議な本のお話。
人は自分がいつ死ぬとわかるとどうなるのでしょうか。
このお侍の場合は、小さな娘を残してすぐ死んでしまうことがわかったので、自分が死んだ後も困らないよう、必死で準備をします。
勘一がどこか超然としているのは、自分の寿命を読んだからでは。
そう思ったおちかは、一大決心をするのでした。
五話目「金目の猫」
なんと、三島屋の伊一郎、富次郎兄弟の体験です。
ちょっと切ないお話ですが、最後のおちかのお嫁入りシーンは感動的です。
皆に祝福され、幸せな結婚をするおちか。
しかし最後の最後、ちょっとしたオチがあります。
一作目「おそろし」に出てきた、あの番頭が富次郎の前に現れるのです。
おちかの結婚を祝う言葉を述べますが、なんとも不気味なムードを醸し出し、富次郎は動揺します。
彼はいつも三島屋を見ているということでしょうか。
さすが三島屋シリーズ、幸せムードでは終わりません。
それはともかく、おちかが幸せになって良かった良かった。
次は富次郎が、どんなお嫁さんをもらうかですね。
富次郎と伊一郎のどちらかが、お勝と結婚すればいいのに。
ところでこの兄弟、なんとなく「最後の晩ごはん」の海里とお兄さんの関係に似ています。
富次郎は海里よりもずっとしっかりしていますが、優秀な兄がやんちゃな弟を深く愛しているところが似ていますね。
いい兄弟です。
さて、次回以降は富次郎が百物語の聞き手になるそうです。
さあ、どんなお話になるのでしょうか。楽しみです。
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