水晶のピラミッド 島田 荘司
1994年12月15日 講談社文庫
御手洗潔シリーズ、今回も本当に面白いです。
犯人が分かったように見せかけて、実は違ったんだよ~、知ってたけどね~みたいな感じでどんでん返しが待っていました。
御手洗って英語ペラペラなのね、知らなかったです。
今回はピラミッドの話とタイタニックの話が出てきてなかなか興味深いものでした。
それから、何気なく出て来るミクルの話が、なんと5千年も昔の話だったなんて思いもしませんでした。
日本ではまだ、縄文時代?もっと前?
5千年前はなんと、今のギザのピラミッドのすぐ側までナイル川が流れていたそうです。
長い年月の間に川まで姿を変えたのですね。
だからミクルもギザへ行くのに、ナイルを船で下り、ピラミッドのすぐそばまで到着しています。
そしてそこには自然の大きな岩があり、ライオンが寝そべっているように見えることからライオン岩と呼ばれていたのですが、それが今のスフィンクスの原型だったとは。
タイタニックは大体映画で見た通りでした。
世界一の船をつくったという人間のおごりとうぬぼれから来る不幸な事故でした。
そして、ちょっと御手洗はレオナに冷たすぎます。
あんなに自分のことを愛してくれているのに、なぜあそこまで冷たくできるのか!
もちろんレオナが映画に出演できるようにと、事件を解決するのですが、それは愛情からきている行為とは思えません。
でもレオナってやっぱりかわいそう。女優として大成功を収めても、それを見せる家族がいないのですから。
まあ、家族っていっても「人喰いの木」事件のあの人たちですが・・・。
あと、石岡が初めてダイビングをして、海の中の美しさに感動するシーンがありますが、私も昔バリの海で初めてダイビングをした時のことを思い出して共感しました。
本当にきれいでした。
今回も文句なしの一冊です。
島田荘司先生は本当にすごい人です。桁が違います。