ローマ人の物語 Ⅷ 危機と克服② 塩野七生 新潮社
さて、続きです。
急逝したティトゥスの後を継いだ弟のドミティアヌスは、まさかこんなに早く兄が死ぬとは思っていなかったようです。
そして周りもまた思っていなかったので、あまり皇帝になる準備をしていなかったようですが、それでもがんばりました。
しかしこの人、死後「記録抹殺刑」なるものを受けています。
塩野先生は、このドミちゃんに対して、いたって同情的に書いていらっしゃるので、本を読む限りでは、そこまで重い刑を与えなくとも思うのですが、実際はどうだったのか・・・・。
しかし彼は、ライン川防衛の「リメス・ゲルマニクス」をつくり、これはその後の皇帝たちも、メンテナンスを繰り返し重宝しています。
功績もあるのですが、しかし彼の時代「デラトール」と呼ばれる密告者が多く活躍してしまいました。
そういうことが原因だったかもしれません。
でも結構「記録抹殺刑」って重いですよね。
いなかったことにされるわけですから。どれだけローマ人の恨みを買ったんでしょうか。
このドミティアヌス、殺されますが、どうも家庭内での問題であったようで、政治的暗殺ではなかったようです。
彼は15年もちました。
その後皇帝になったのはネルヴァです。
この人、この時点ですでに70歳過ぎ。
短い皇帝だと、本人も周りも思っていたようです。
きわめてこの人も常識的な人だったらしく、特に何も問題はなかったようです。
まあ、する時間もなかったでしょうしね。
しかし・・・この時代のローマはメチャクチャですね。
こんなにコロコロ皇帝が変わったら、国の内情はメチャクチャになるでしょう。
これを見ると、いかにユリウス・カエサルが天才的であり、アウグストゥスが優秀であったかがよくわかります。
真面目でよく国を治める人というのはたくさんいます。
が、伝説となるようなカリスマはなかなかいません。
この2人を超える人など、もうローマには現れないでしょう。
さて、ローマはこれからどうなっていくでしょうか?
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