ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以後① 塩野 七生
2014年7月25日 新潮社 kindle
知れば知るほど、カエサルってかっこいい~。すてき~♪
正に男の中の男、できる男だ~。女が放っておけないのも無理はありません。
カエサルの生きた時代は、ローマ史、いや世界史でも最も重要なところだというだけあって、まるで現実とは思えないくらいドラマチックな時代です。
読んでいるこっちもハラハラドキドキ。いやこれは歴史なのだから、いくらハラハラドキドキしたって、もう起こってしまっていることなのだけれど。
ルビコン川を越えたカエサルは、周りの都市をおさえ(みんなカエサルに戦わずして従ったらしいけれど)ローマへ向かいます。
何とか内乱を抑えようとポンペイウスと交渉しますが、ポンペイウスは態度をはっきりさせず、元老院議員たちと共にローマから逃げ、そこで軍隊を整えます。
一方ローマ一の優秀な弁護士、キケロは元老院派ではあったが、ポンペイウスたちと行くのも気が進まず、一人別荘にこもります。
しかしキケロは、敵であっても処刑したりせず許すカエサルと、味方を置いてサッサと逃げるポンペイウスを比較して、カエサルに対し手紙を書いてほめたたえました。
この二人は政治上では意見は違っても、プライベートでは仲が良かったからです。
「わたしが自由にした人々が再びわたしに剣を向けることになるとしても、そのようなことには心を煩わせたくない。何物にもまして、わたしが自分自身に課しているのは、自らの考えに忠実に生きることである。だからほかの人々もそうあって当然と思っている。」
これぞ正にカエサルの生き方です。男らしい。すばらしい。器が違います。
ただ自由にした人々が再び彼に剣を向けることになる・・・というのは残念ながらその通りになってしまいますが。
ポンペイウスはローマから離れ、カエサルとの交渉にも応じなかったのは、元老院議員たちを裏切ることができなかったからでしょう。
彼は大量の軍隊を組織しました。
カエサルは一旦ローマへ寄り、ポンペイウスを追ってイタリアへ発ちます。
が、長いガリア戦役を終えてきたカエサルの軍は、ベテランが多く精鋭ぞろいでしたが、死んだり、ケガや病気などでだいぶ人数が減っていたし、資金もありませんでした。
圧倒的に不利な状況でした。
スペインのレリダでポンペイウス軍と向かい合ったカエサル軍ですが(ポンペイウス自身はここにはいませんでした)なんとここで、川が増水してどんなには死をつくっても荒らしが次々やって来て流されてしまいます。
やむなく孤立してしまったカエサル軍ですが兵糧の補給はポンペイウス軍に妨害されてできません。
ポンペイウス軍は勝利を確信し、キケロまでもその知らせを聞いてポンペイウスのところへ向かいました。
が、カエサルの軍はみんなカエサルを尊敬し、慕い、彼のためならば命を賭ける精鋭たちです。そんじょそこらの雇われ兵士とはわけが違うのです。
カエサル軍は運河を掘り、危険な渡河を行いましたが、カエサルの一計で1人の犠牲も出さず移動を完了させました。
ポンペイウス軍は仰天し、降伏しましたが、まだ司令官のポンペイウス本人はギリシアで兵を集めています。
カエサルは降伏した兵士たちを殺さず自由にしました。
同じローマ市民だし、自分と立場が違うからと言って殺すことは、カエサルは決してしなかったからです。
ちなみに、ポンペイウス側にはカエサル暗殺で有名になる、マルクス・ブルータスがいました。
この人はカエサルの生涯の愛人、セルヴィーリアの息子であり、セルヴィーリアはカエサルがローマを発つ前、息子は助けてほしいと頼んでいたそうです。
このブルータス、カエサルの敵に回るということは、やっぱりお母さんの愛人ということが許せなかったんでしょうか。
さて、いよいよカエサルとポンペイウスの戦いとなりますが、この続きは次回にいたします。