咲紗の、本とチワワとコーヒーと ~愛すべき本たちとの日々~

読書大好き咲紗が、読んだ本の感想やご紹介をしていきます

ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以後②  塩野 七生

2014年7月25日  新潮社  kindle

さて、続きです。

いよいよ、カエサルポンペイウスの直接対決となります。

この戦いはあまりにもいろいろのことがあって、とても書ききれませんが、とにかく壮絶であり、作戦につぐ作戦、駆け引きという駆け引き、運という運、情報という情報、裏切りという裏切り・・・・という感じなのです。

なにしろ、ローマきっての2人の天才の戦いなのですから。

しかし、有名な「ファルサルスの決戦」前までは、ポンペイウス軍の方が優勢でした。

兵士もさらに増やし、兵糧もたっぷり。余裕まで出てきました。

元老院議員たちもポンペイウスの勝利を疑いませんでした。

まあ、無理もありません。

カエサルの方は、兵士少なく、兵糧少なく、みんな飢餓状態だったのですから。

最後の作戦会議では、もう勝った後にどうするこうするという話ばかりで、作戦などそっちのけでした。

ただ一人、それにのらなったのはポンペイウス

こういうところはやはりさすがだと言ってもいいのでしょうが、やはりそれでも自分は勝てると思っていたようです。油断とはまた違うのでしょうが・・・。

そして・・・・。

完全にカエサルの作戦の方が勝ったのです。

カエサルの圧勝に終わったこの決戦は、ポンペイウス側には夢にも思わなかったことでした。

ポンペイウスは逃げ、多くの兵士が捕虜となり、例のブルータスも助けられました。

カエサルはローマの政治を自分に代わって行う役を、副将だったアントニウスに任命し、自分はポンペイウスの後を追いました。

が、このアントニウスという人、武将としては優れていましたが、政治は今一つだったようです。

カエサルの代わりは彼にとっては荷が重く、カエサルも彼には失望したそうです。

ポンペイウスには2つの逃げ道がありました。

1つは北アフリカへ、もう1つはエジプトへの道でした。

みな北アフリカへの道を勧めました。エジプトは、クレオパトラと弟王との内戦状態にあったからでした。

しかし彼は様々な事情から、エジプトを選びます。

エジプトは以前、ポンペイウスに対して、彼のおかげでクレオパトラの父王が失脚を免れたということがあり、恩があったからでした。

しかしエジプトにしてみれば、いくら恩があったとしても逃げてこられるのはいい迷惑でした。

ポンペイウスは、エジプトに着いたとたん殺されてしまうのです。

あれほどの天才武将がこんなことで殺されてしまうなんて・・・。

カエサルも、それを知って泣いたといいます。

そして、ポンペイウスを追っていたカエサルも、数日後エジプトに到着。

殺されはしませんでしたが、歓迎もされませんでした。

そして、クレオパトラとの出会いがあります。

内戦によってアレクサンドリアを追われていたクレオパトラは、やってきたローマ一の権力者を頼り、砂漠を通って部下に担がせた敷物の中に身を隠し、カエサルへの贈り物として届けられました。

「エジプトのクレオパトラ女王から、カエサル様に贈り物です。」部下がそう言って敷物を広げると、中から転がり出たのは女王自身。

たちまちカエサルは彼女のとりこになった、という有名な話がありますが、そこにはあまり触れられていませんでした。(つまんない)

カエサルクレオパトラと弟王の仲裁をし、共同統治を命じましたが、これに不満な弟王側が兵を起こしました。

カエサルは仕方なく戦ってこれをおさめ、弟王は戦死。まだ13歳くらいだったそうですから、側近たちに担がれ、利用されたようですね。かわいそうに。

カエサルクレオパトラと少しの間休日を楽しみ(子供までつくって)、ローマに戻りました。

面白いのは、キケロですね。

この人教養人の割には、なんかやることなすこと裏目に出る人で、ポンペイウスの味方に付いたことで「カエサル、怒ってるだろうな~・・・」とローマに帰りたくても帰れなくなってしまいました。

「でも、カエサル友達だから許してくれるよね」と期待してアントニウスのところに行きましたが、アントニウスとしても「さあ、カエサルに聞かないとなんとも・・・」と言うしかありません。

キケロは泣く泣くカエサルの帰りを待ち続け(実に1年以上)、その間ずーっと親友に愚痴の手紙を書き続けます。

「ローマに帰りたいよう、奥さんに会いたいよう、カエサル早く帰ってこないかなー。なんだって!エジプトの女王と舟遊び中!そんなー!早く帰って来てー。ああ、でも許してくれなかったらどうしよう、どうしようどうしよう・・・。」

という感じ。こんな手紙をずーっと送られ続けた友達も大変だったでしょうねぇ。

さてそんなグチグチキケロも、ようやくカエサルが帰ってきたら一目散に会いに行き、期待通り友達として快く許してもらい、ローマにも帰ることができました。

お友達、ようやく解放されましたねぇ。めでたしめでたし。

さて、ローマに戻ったカエサルは、本格的にローマの改革に乗り出すことになります。

そのお話は、次回に続きます。

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