かがみの孤城 辻村深月 ポプラ社
いや~、ついにこの作品を読みました!
2018年度本屋大賞受賞作であり、あまりにも有名な作品ですよね。
ちなみに、私にとっては初の辻村深月作品です。
全体的に、ものすごく丁寧に書かれており、繊細な心理描写と、最初からあらゆるところに張られている伏線が見事です。
決してミステリー作品ではないのですが、最後、ああ、そうだったんだ・・・とじんわりと思わせてくれます。
あと、主人公、こころの気持ち、学校であった様々な理不尽な仕打ち、決定的になった恐ろしいこと・・・そんなときのこころの気持ちが、私には痛いほどよくわかりました。
それにこんなことがあったら、そりゃ学校行けるはずがないです、っていうか、行っちゃダメでしょ、これは。
そんな不登校のこころの部屋の鏡が、ある日突然ひかりだし、そこはあるお城へとつながっていました。
そこにいたのは、狼のお面をかぶった少女と、心と似たような境遇と思われる6人の中学生たち。
この「オオカミさま」は言います。
この城の中に、カギと、願いの部屋があり、そのカギを見つけたものは、一人だけ願いをかなえることができる。
期限は約1年(3月30日)。
ただし、願いをかなえた時点で城での生活は終わり、全員の城での記憶は消える、と。
こころ含め7人は、それぞれ願いはあるけれど、それ程カギ探しに熱心ではなく、ゆっくりと友情をはぐくんでいきます。
現実世界に居場所がない彼らは、城での生活がかけがえのないものになっていきます。
そしてそこで得た友の存在も・・・・。
ただ、彼らの会話の中には様々な伏線があり、「あれ?」という小さな違和感があるときがあります。
例えば、成人式の日とか、細かいことなのですが・・・
そういうことが、後になって、「ああ、こういうことだったのか」と思わせてくれるのです。
そして、「オオカミさま」の正体が明らかになるとき、あまりにも切なく、陣割と涙が出てしまいます。
それから7人それぞれの明らかになっていく事情・・・・。
ラストはとても感動的です。
そこにある、わずかだけれど生まれる、未来への希望。
それぞれがどうなっていくかはわかりませんが、そこには確実に未来があります。
丁寧に織り込まれた、ぜひ一度読んでみて頂きたい作品です。
本屋大賞もうなずけますね。
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