僧正殺人事件 ヴァン・ダイン 鈴木幸夫訳 グーテンベルク21
正に古典ミステリ。
kindleになったのが2003年ですが、実際は1929年の作品です。
作品中のヴァン・ダインが「私」という語り手として登場するのですが、面白いくらいに存在感がなしです。
まれ~に、主人公のファイロ・ヴァンスが「ねぇ、ヴァン」と話しかけたりはするのですが、本人一言もしゃべらず、ほかの人間もだれ一人話しかけず。
ちょっとそこが面白いですね。
「僧正」というからてっきり、神父が殺されるのかと思いましたが、ビショップのことで、これはチェスの駒のことだそうです。
チェスがたくさん出てきますが、チェスなんて全くわからなくても読めますので大丈夫です。
外人ってチェスが好きですね。日本でいう、囲碁や将棋みたいなもんか。
古典ミステリは嫌いではありませんが、まだまだ言い回しとか表現の仕方とかが独自で、読みなれないですね。
100年近く前の作品だから、シャーロック・ホームズの時くらいでしょうか。
さて、本編ではマザーグースの唄にあわせて、次々と残虐な殺人が起こります。
マザーグースって内容が不気味で、子供に見せていいのかと思うくらいひどいのもありますよね。
ここに出て来る唄は、コック・ロビンの唄、ハンプティ・ダンプテイ(せむし男と訳されてました)、マフェットのお嬢さん・・・。
次から次へと人が死んでいって、主要な登場人物がほとんど死んでしまいます。
犯人かと思えば殺され、また思えば殺され・・・・
なので、犯人はだんだんと的を絞られていくのですが、こんな理由でこんなに平然と人を殺すなんて・・・と思ってしまいます。
これはシリーズ物で、主人公のファイロ・ヴァンスが探偵役なのですが、不勉強な咲沙は、彼が何者なのか、この作品ではよくわかりませんでした。
でもなかなかかっこいいですね。自由人という感じがして好きでした。
古典の探偵と言えば、ホームズはもちろん、私はあとはエラリー・クイーンとドルリー・レーンくらいしか知らないのです。
だれがどうと言えるほど読んでいないので何とも言えませんが、この探偵たちはみんな、物分かりが悪く、反対ばかりする警官たちに悩まされながら事件を解決しますね。
結構苦労が多いようです。
ホームズはちょっと別ですが。
ワトソンのような存在で思い出すのは、有栖川有栖、ヘイスティングス・・・う~ん、あとは誰だろ?
あ、そうそう、御手洗潔シリーズの石岡さんとか。
とにかくいろんな要素の詰まった作品です。
いろんな意味で楽しめました。
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