そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ 文春文庫
2019年本屋大賞受賞作です。
何度も家庭環境が変わり、2人の母親と3人の父親がいる優子。
こんな生い立ちだと、周りの人は彼女が不幸であることを連想します。
しかし彼女は言います。
「困った。全然不幸ではないのだ」と。
どの親も、彼女を一生懸命育てました。
特に最後の父親、森宮さんはなかなかユニークなキャラです。
始業式の日は朝からカツ丼、優子が友達とトラブったら、スタミナが大事と、1か月毎日ギョウザ。しかもいろいろとアレンジして。
しかし、優子だって全く苦労がないわけではありません。
突然の別れや出会いを繰り返し、やはり心のどこかでは気を使いあっています。
不幸ではないけれど、それなりにやはり優子は苦労をしてきました。
しかしそこで彼女は気づきます。
今の親、今の生活を大切にするしかないのだ、と。
そして家族の在り方というものを、彼女なりに創り上げていきます。
もし優子が、どの親にも反抗し、自分の身の上を嘆くだけの子なら、幸せをつかむことは出来なかったでしょう。
だからといって、うまくやろうと肩に力が入ることもなく、優子はあくまでも自然体です。
またどの親もそれぞれ個性的で面白いのです。
今回この作品は映画になるそうですが、森宮さんは田中圭。
私はぴったりだと思うのですが、皆さんはどうでしょうか。
また、自由奔放な母親には石原さとみ。こちらもぴったりだと思います。
配役ってうまく考えるものですね。
ところで、今回この瀬尾まいこさん、咲紗は初めて読みましたが、とてもやさしい文体で、特にご飯の描写がとってもいいですね。
おいしそうだし、大切なのは食事をきちんととること、というメッセージが伝わってきます。
人生を送る上で、おいしいものを食べることがとても大切です。
すっかりファンになってしまいました。
優しい気持ちになりたい方、癒されたい方、こちらの作品、ぜひ読んでみてください。
お勧めです。
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