この本を盗む者は 深緑野分 角川書店
本屋大賞ノミネート作品です。
こういうファンタジー大好きです。
正に「本の本」。読書好きにはたまりません。
もう設定からしてワクワクしてしまいます。
物語の舞台は、有名な書物の蒐集家であったひいおじいさんと、その娘であるおばあさんが、コツコツと集め続けた蔵書のコレクションが収められた「御倉館」。
その影響で、町全体も読書の町となっています。
しかしその御倉館から本が盗まれてしまいます。
と思ったら、なんと、町がある本の内容を現実にしたように変わってしまうのです。k
どうやらこれは本にかけられた呪いのせいのようです。
御倉館の娘、深冬は、どこからともなく現れた、白い髪の少女、真白と共に町をもとに戻さなければなりません。
早くしないと、町の人たちも自分も、なぜかキツネに変わってしまうのです。
それを防ぐには、本泥棒を捕まえるしかありません。
深冬は物語の世界に入り込んでいきます。
深冬自身は、怖いおばあさんの影響で本を読まなくなっているのですが(この辺はビブリアに似ています)物語の世界に入るには本を読まなくてはいけません。
そうして冒険を重ねるうち、深冬はついに、御倉館の秘密にたどり着きます。
そして、昔、御倉館から本を盗んだ真犯人と、呪いの真実は・・・・。
読んでいると冒険の世界が面白くて、心を引き付けられます。
決定的な雨男と晴れ男の兄弟の話、不思議な銀の獣・・・
この世界に行きたいとは思わないですが(結構、深冬はハードな目にあいます)
ワクワクしてしまいます。
しかし本というものはやはり、読んであげないといけないなぁ、と思います。
飾っているだけではかわいそうですよね。
深冬も言います。
「本っていうのは読んで命を吹き込まれる」と。
米澤穂信の「追想五断章」でも書きましたが、「本たちはそのページを開いてもらうのを待っている」のです。
本は読んであげなくてはいけないものなのです。
ところで、もうすぐ本屋大賞の発表ですね。
果たしてどれが大賞を取るのでしょうか。
本屋大賞ノミネート作品はやはり面白いですね。
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