老後の資金がありません 垣谷美雨 中央公庫
てっきりエッセイだと思っていたら、小説でした。
いや~、身につまされました。
老後のためにと思っていたなけなしの貯金が、思いもかけず娘のハデ婚やら舅の立派な葬儀やらなんやかんやで、もろくも崩れ去っていく主人公。
さらに追い打ちをかけるように、夫婦そろってリストラ。
高級ケアマンションに住んでいる義母には、月9万円を仕送りしなくてはならないし、義理の妹はうるさいし・・・・
高級ケアマンションを解約させ、義母を家に引き取ったり、慣れないコンビニでバイトを始めたりと悪戦苦闘する主人公の様子が、全く他人ごとではありませんでした。
お金なんて、どんなにためてもあっという間になくなってしまいますからね。
まして今はコロナの時代。先が全く読めず、不安ばかりが募ります。
出来れば無駄な出費は抑えて、いざというときのために蓄えたいものですよね。
この本では、お葬式を安く、しかも心のこもったものにするための方法とかも書かれていて、なかなか考えさせられました。
クスリと笑えて、なんだか最後はちょっと希望が見えてきて、前向きな気分になれる作品です。
私も、舅ではなく実の父の時のお葬式は、思いがけず盛大なものになってしまった・・・という経験があります。
父は割と早くに亡くなったので、父の会社の人たちとか友達がまだみんな元気で、お葬式に大勢来てくださったのです。
もちろんありがたいことではありましたが、ここまで盛大にしなくてもよかったかな、とちらっと思いました。
母はまだ元気ですが高齢で、自分の時はお葬式はいらない、どうせ兄妹も友達もみんな高齢でお葬式には来れないから、と言っています。
私は母とは同居していますが、ありがたいことにとても元気でいてくれるので、介護の必要もなく、逆にいろいろ助けてもらっています。
これが介護施設やケアマンションに親を入れている人なら、とても大変でしょうね。
老後の問題、介護の問題など頭の痛いことばかりです。
この主人公と一緒に、いろいろ悩んだりしながら考えていきたいですね。
面白い作品でした。
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