震える岩 霊験お初捕物控 宮部 みゆき
1997年9月15日 講談社文庫
宮部みゆき先生は、本当にいろいろな作品を書いていらっしゃるけれど、私は時代劇が大好きです。
今回も本当に面白いし、よく江戸のことを調べているなあ、と思います。
江戸時代の町の様子や人々の暮らし、その時はやっていた服装や商売など、細かいところまでよく調べていて、まるで本当に江戸の町を見てきたかのようです。
実に生き生きと人々の姿が伝わって来て、読んでいてとても楽しいです。
さて、今回の主人公は、小さい時から不思議なものが見える力がある、元気いっぱいのお初。
その力のために、たびたびお奉行様の仕事を手伝うが、今回の事件は、お奉行様の言いつけで右京之介という、気は弱いけど心優しいお侍とコンビを組むことになります。
右京之介のどちらかというとユニークな外見と(おせじにもイケメンには程遠いようです)、少し風変わりな人間性に、はじめは軽く見ていたお初だけれど、だんだんと彼の人柄にひかれていきます。
ボーっとしているようで、なかなか鋭い観察眼と意見を持っているのです。
この2人、うまくいくといいのだけれど。
また、この作品は忠臣蔵がテーマになっていますが、この事件、昔も今もよくドラマや劇になりますが、真相は実はあまりよくわかっていないらしいですね。
江戸時代の人たちは、この忠臣蔵が歌舞伎で上映されるのを心待ちにしていたとか。
今、私たちが知っている忠臣蔵は、この歌舞伎で上映された内容が基になっているそうです。
一体本当は何があったのか、何が原因だったのか、裏で操っている人間がいたのか、本当のところはだれにもわかりません。
そして、家臣たちはどう考えて、仇討に向かったのか・・・
こればかりはもう永遠にわからないでしょうね。
宮部みゆき先生はやっぱりすごい作家ですね。
百物語シリーズもぼんくらシリーズも好きだけど、この霊験お初シリーズも大好きになりました。
読んでも読んでも飽きません。