人間 又吉 直樹
2019年12月6日 毎日新聞出版
ピース又吉の最新作です。
今回は、絵やエッセイなどを描く芸術家を志す青年たちの物語。
この作品では、登場人物たちの口から、又吉自身の思想をかなり語らせています。
どこまでが彼自身の話で、どこまでがフィクションなのかちょっとわかりませんが、影島は確実に又吉をモデルにしています。
ただ、その思想が、結構比喩を使って表現していて、難しくてよくわからない箇所も正直たくさんありました。
芸術というのは、何が正解というものはなく、見たものの完成にどうしてもゆだねられてしまうので、それで成功するというのは本当に難しいものですよね。
主人公たちもいろいろと思い悩み、もがき、そしてこれといった解決があるわけではありません。
「僕たちは人間をやるのが下手だ」と主人公の口から語らせていますが、これが又吉自身の一番言いたかったことなのかもしれません。
解決することのない悩みを抱えて、苦しむ人間たち。そこには救われない深い絶望と悲しみがあります。
最後の方で、主人公は父の故郷、沖縄に用があって帰省しますが、」これって又吉の両親のことなのでしょうか。
アル中気味のお父さんが結構インパクトありますが、彼はそんなお父さんを愛情のこもった目で見ています。
両親や親戚のことが書かれていて、もしこれが本当の彼の話だとすると、なかなか面白いです。
お母さんのおばあさん、つまり又吉のひいおばあさんは、奄美大島でユタ(霊媒師)をしていたそうですが、その息子、又吉のおじいさんはクリスチャンだったとか。
なぜそうなる、と思ってしまいました。
それに沖縄の人って、大勢集まると、三線をひいて、歌を歌ってみんなで踊るようです。
沖縄文化なのでしょうか。面白いですね。
いつか又吉は、自分の家族や沖縄のことを小説にするかもしれませんね。
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