日本の黒い霧(上)(下)新装版② 松本 清張
2004年12月10日 文春文庫
さて、続きです。
次は松川事件。これもひどいです。
電車をわざと脱線させ、運転手が死亡した事件なのですが・・・
もうここまでくると、警察は真犯人なんてどうでもよく、ただその辺にいた共産主義者を全員捕まえてきて、証拠はでっち上げる、拷問によりうその自白をさせる、つじつまが合わなくなって困ったら、偽の証拠品を出してくる・・・
もうメチャメチャです。これが警察といえるのでしょうか。
ただこの事件、何十年もかかってしまいましたが、全員無罪となったようです。
日本の戦後最大の冤罪事件と言われているようです。
じゃあ真犯人は?被害者の立場は?
人生を何十年も無駄にした、疑われた人たちの人権は?
本当にひどいです。
そしてレッド・パージ、つまり赤狩りのことですね。
矛盾を感じるのは、本当に罰せられるべき人たちが、ちゃっかりGHQに協力していい暮らしをして、下っ端の人たちが苦労する・・・いつの世も本当にこういうことが起きますね。
力のあるものは罪があっても得をする、ないものは正直に生きても損をする。
悲しいけれど、これが現実なのです。
他にもいくつか事件がありました。
戦争に負けた国というのは、ここまでみじめなものでしょうか。
最初から負けるとわかっている戦争などするからいけないのです。
しかあしこんな苦しくみじめな状況の中で、日本人は懸命に働き、この国を立ち直らせてきました。
日本人でなければこれはできなかったに違いありません。
やはり、日本人って素晴らしいです。
でももう二度とこんな戦争が起きないよう、祈るばかりです。
一つもいいことなどありません。ただただ、不幸なだけです。