津軽 太宰治 青空文庫
いや、もう・・・まいった。
古い文学全集は、字が小さいのは我慢できても、字の薄いのだけは我慢できません。
印刷技術が悪かったのでしょうか。
もう見えなくて、全然読めません。
ついにkindleの、青空文庫に切り替えて読むことにしました。
旧仮名遣いですが、十分読めました。
さて、こちらの作品は、一見エッセイのように思えますが、フィクションも含まれているらしいので小説とされているそうです。
昭和19年春に、太宰が生まれ故郷、津軽を見て回った時のことを書いています。
私もいつか、こんな風に、生まれ故郷を歩いてみたいです。
昭和19年というと、戦争真っただ中ですが、津軽の方ではまだそこまで深刻ではなかったようです。
食べ物も豊富だし、お酒も、配給ではありますが、たくさん飲めたようです。
当時の津軽の様子、人々の様子などがよくわかります。
まあ、しかし太宰は飲みますねぇ。
太宰だけでなく、その友達連中も飲みまくります。
もう朝から飲んだくれてます。
こんなにたくさん配給されていたのかと、びっくりです。
東北の人はお酒に強いというけれど、ほんとにそうですね。
このころの太宰は、比較的いい状態だったようで、明るく、もうすぐ2人目の子供が産まれると言っています。
全体的に、作品にも明るいムードが漂っています。
作品の中で、ある年上の作家の悪口を言う場面があり、友人達はみな、「ハイハイ」といった感じで笑いながら聞いていますが、どうやら志賀直哉のことだそうです。
嫌いだったんですね。
感動的だったのは、乳母だった、たけとの再会シーンで、教科書にも載っている有名なシーンですね。
ただ、教科書で読んだときには、その良さはわかりませんでした。
たけは、太宰と再会した時、最初あまり話しませんが、それはあまりの感動に、言葉を発することができなかったのです。
たけはいつも太宰に会いたいと思っていて、同じ年ごろの子供を見ては思い出し、太宰の生家の近くに行くことがあると、そのへんで遊んでいないかと思って見て歩いたらしいです。
深い愛情をもって、太宰を育てていたのですね。
ジワリと涙が浮かびました。
この4年後に太宰は死にますが、その時たけはどんなに悲しんだことでしょうか。
それにしても、この昭和19年に、津軽とはいえ、大きな運動会をやっていて、みんなお弁当をいっぱい持ってきて、お餅まであったらしいから、戦争中にもかかわらず、まだこんなことができたのかと、びっくりしてしまいます。
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