最後の晩ごはん 小説家と冷やし中華 椹野 道流(ふしのみちる)
シリーズ2作目です。
相変わらず短くて読みやすいです。
今回は、料理人の修行に明け暮れる海里のもとに、かつての後輩が訪ねてきたことから、マスコミに居場所がばれてしまい、ひどい目に合ってしまいます。
でも前回から比べて、ずいぶんと大人になった海里。キチンとした大人の対応でなんとか乗り越えます。
元々の彼の持っている優しさも加わって、だんだんいい男になっていくなあ、と感じました。
そして、この料理人夏神の優しさが、素朴でとてもいいのです。
決して海里を責めず、裏切らず、彼のことを信じます。
眼鏡のロイドもなかなかいい味を出しています。
夜中には英国風紳士に変身し、ご飯も食べます(眼鏡なのに)
そして眼鏡のくせに、眼鏡をかけてみたいと海里におねだりまでします。
そして今回もまたまた、幽霊登場・・・。
「ばんめし屋」の常連である、作家の淡海先生の、13年前に死んだ高校生のかわいい妹。
淡海先生は、妹との思い出がある冷やし中華を食べることができません。
妹を愛する先生と、兄のことが心配で13年間ずっと兄のそばに、成仏せずにい続ける妹。
その愛情がとてもいじらしくて、泣けてしまいました。
よく考えたら、これお店の名前が悪いんじゃないですかね。
「ばんめし屋」なんて「うらめしや」みたいじゃないですか?
だから幽霊がしょっちゅう来る店になってしまったのでは?
そして、前作のブログでも書きましたが・・・・そもそも、幽霊ってご飯食べられるの・・・かな・・・?
眼鏡のロイドも食べられるから、幽霊も食べられるか。
そして、今回つくづく思いました。
このシリーズは、夜中に読んではならない!
なぜか。
やけにおいしそうな料理がふんだんに出てきて、またみんなおいしそうに食べるもんだから、読んでるこっちももう、お腹すいてお腹すいて・・・。
凝りもせずダイエット中の咲紗には、拷問なのです。
ほんっとにおいしそうなんですよね。今回も冷やし中華をはじめ、酢豚とかフリット、ラーメン定食、炒飯・・・あ、もうだめ。お腹すいた。
優しさと素朴、人情味あふれる良作です。
この椹野道流先生は、咲紗がそのうち読んでみたいと思っていた「ローウェル骨董店」とか「貴族探偵エドワード」などのシリーズ物の作者でした。
人気作家なのです、不勉強でした。
次回から、少しずつ夏神の過去がわかっていくのかもしれません。