図書館の魔女 烏の伝言(つてごと)(上)(下) 高田大介 講談社文庫
「図書館の魔女」の続編です。
戦争は回避されましたが、政権が変わって混乱したニザマと、その周辺の、混乱し荒れ果てた港町が舞台です。
欲もここまで荒れたものだと思うくらいの荒れようで、正に荒廃という言葉がぴったりとなってしまったニザマ。
そして、正に題名の通り、山で暮らす鳥飼のエゴンと、彼のカラス、ハァウが届ける伝言が、物語の大きなカギとなっています。
ニザマの姫君、ユシャッバと、それを守る近衛兵たち、彼らを道案内する剛力と、港で彼らを助ける「ねずみ」たち・・・
命がけの逃避行の中で、彼らは信頼を築き、強いきずなで結ばれていきます。
だまし、裏切り、平気で殺したり盗んだりする連中の中で、彼らのその態度は胸を打ちます。
ユシャッバを助け出すシーン、その後の近衛とネズミの仲間を助け出す命がけのシーンは圧巻です。
下水道を渡るシーンは、ものすごい迫力で、読んでいてはらはらします。
そして、満足に口を利くことのできないエゴンの、機転を利かせた活躍が、最後に皆を救います。
剛力たちも、そして近衛兵やネズミたちも、だれもエゴンをバカにしたりしません。
彼の鳥飼としての実力はみごとなもので、それが皆を救うのです。
そして、マツリカ登場。
果たして一番の黒幕は一体誰だったのか、そしてその正体は・・・・
最後まで、息をつかせぬ展開で、迫力満点、読み応え十分です。
ただ、相変わらず、言葉が難しすぎるのが難点ですね。
字の読み書きができないような剛力たちが、こんな難しい言葉使うか!と突っ込みたくなるほどです。
言葉が難しすぎるため、背景描写がよくわかりません。
前作もそうでしたが、だから建物の様子とか、町の様子とかがよくわからないので、わからないまま読み進めるしかありません。
内容が前作同様、とても面白いだけに、この点がちょっと残念です。
ただ、最後には、そうだったのかーと思わせてくれます。
今回、一の谷のアキーム達も、ハルカゼも出てきます。
ヴァ―シャも出てきます。
さあ、どうやって出て来るか、さすがこの辺はヴァ―シャ、驚かせてくれます。
この人、すっかり元の地位に戻っているらしいです。
キリヒトは名前だけしか出てこなかったですが、これだけニザマとその周辺が荒れていたら、彼の身の上がどうなったか気になるところです。
この続編、出る予定はあるらしいですが、なかなかでないというのが現状のようです。
この後のマツリカとキリヒトがどうなるのか、気になるところなので、早く出てほしいですね。
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