図書館の魔女 第一~二巻 高田 大介
2016年4月15日 講談社文庫
かなりの長編で、これでやっと前半。
作者のデビュー作で、第45回メフィスト賞受賞作です。
この作者、言語学者だそうです。
そのせいか、やけに難しい言葉がふんだんに使われていて、ちょっと理解できないところが多々ありました。
絶対こんな言葉、日常で使わないはず、という言葉を主人公たちは平気で使います。
また、ファンタジーと言っていいのかどうかもちょっと微妙です。
ある村から、「図書館の魔女」の通訳として、一人の寡黙でストイックな少年、キリヒトがやってきます。
キリヒトは、「図書館の魔女」マツリカがまだ少女だったことにおどろきます。
ついでに、そのお行儀の悪さにも驚いていましたが。
「魔女」といっても別に魔法を使うわけではありませんでした。
「高い塔」の図書館ーあらゆる知識、あらゆる言葉を司る役目を負っている少女です。
二人の優秀な司書と共に暮らしているマツリカは、もちろん頭はいいのですが、ふんだんな言葉を知っているのに、皮肉にも口がきけません。
その代り、その手話がものすごくたくみです。
そしてマツリカはキリヒトともに、指話を開発し、キリヒトの声をまさに自分の声として伝える方法を編み出します。
しかしこのキリヒト、ただの通訳としてやってきたのではありませんでした。
この、キリヒトの本当の目的がなんなのかも物語の大きな要です。
更に、マツリカは周りの国の陰謀により、命を狙われていることが判明します。
キリヒトとマツリカは、その陰謀の渦へ巻き込まれていきます。
そして、周辺諸国の戦争への動きが徐々に活発化してき始めています。
前半はここまで。
私にとって興味深い場所ー図書館ーしかもその規模は半端ではありません。
古代の巻物からあらゆる言語のものが保管されている図書館。
マツリカは、少女とは思えない膨大な知識と洞察力でその図書館を治めているのです。
この小説のテーマは「言葉」です。
言葉を持たないマツリカから発せられる、声なき、溢れんばかりの「言葉」。
その言葉が収められている、膨大な数の書物たち。
非常にスケールが大きく、面白いのですが、何分にも言葉が難しすぎ、ちょっと読みにくい箇所が多々あるのが残念なところです。
これ、読んだ人、皆理解してるのかな?
いくら言語学者の人が書いたからって、そんなに自分の知識をひけらかさなくても、読者のことをもう少し考えてくれても・・・と思います。
そして、キリヒトとマツリカがどのように陰謀を切り抜けるのか、敵とどのように戦っていくのか、次回以降が楽しみです。