エジプト十字架の謎 エラリー・クイーン
1959年9月25日 創元推理文庫
綾辻行人先生の「十角館の殺人」で、ミステリー同好会の学生たちが様々な有名ミステリー作家の名前をニックネームにしてそれぞれ呼び合っていました。
アガサにポウ、カー、ドイル・・・その中で、結構重要な役割を演じる学生にエラリーという男子学生がいました。
それで何となく、エラリー・クイーン物が読みたくなって、手に取った一冊です。
エラリー・クイーンと言えば、「Xの悲劇」シリーズと、エラリー・クイーンシリーズが有名です。
それにエラリー・クイーンはペンネームで、実際は二人で書いていた・・・っていうのは、ファンの方なら当然ご存じですね。
従兄弟同士だったとか。お互いの欠点を補いながら執筆されていたそうです。
仲良しでいいですね。
この作品は、クイーン物の中では、結構人気作らしいですね。
半分くらい読んだところで「あ、犯人わかった」と思ったのですが、違っていました。
やっぱりそう簡単にはわからせるわけないですね、エラリー・クイーンをなめてはいけません。
まあ、残酷極まりないです。ひどいねぇ・・・という感じ。
犯人がわかると、ますますそのひどさがわかります。
よくこんなことできたな、と思います。
だって、首切って、それを十字形の道しるべにつるしてT字路にほっとくんですよ。
その力技もすごいけど、その動機を知ると、身勝手極まりない。そんな理由でここまで残酷になれるかという感じです。
作者と同名の探偵、エラリー・クイーンはそのT字型がエジプト十字架の形であることから、その方面で推理を勧めますが、その後何の関係もなかったことがわかります。
表紙も思いっきりエジプトの写真だったのですが、ここからすでにだましですね。
ところでこのエラリー・クイーン氏、まあ、あまり意味のないことをさも重大そうによくしゃべる人ですねぇ。
エラリーが犯人にたどり着き、全ての真相に気づくのは、本当にほんの些細なことです。
しかしそれが確かに犯人をすべて語りつくしているのです。
まだ読んでいない方のために書けませんが、なるほど、と唸らさせられました。
そこは非常に見事だったと思います。
さすが人気作だけあって面白いです。存分に楽しめました。
そしてなんだかまた、「十角館の殺人」が読みたくなってしまいました。