工学部・水柿助教授の日常 森 博嗣
2001年1月10日 幻冬舎
ま~、ゆるいゆるい。
あまりのゆるさに、よくこれが本となって出版されたものだと思います(笑)
これ、本人は小説だと言い張っていますが、エッセイにほど近い自分の日常・・・とも言い切れず、思っていることをつらつら書き連ねているのです。
ただ、それだけ。
まあ、もちろんそのゆるさを狙って書いていらっしゃるのでしょうが。
やっぱり、工学部の研究者ってかなり変わってるなぁ、と思うことばかりです。
咲紗は、こういうゆる~いものは、わりときらいではありません。
読んでいても、のほほんとしていられるし、頭も使わなくていいですよね。
適度にくすくす笑えればそれでいいのです。
笑っちゃったのは、入試や試験を作る側の立場の裏事情のところ。
いろいろあるんですねぇ。
受ける側としては試験というのはイヤなばかりですが、作る側もやはりそうなのですね。
あと、若き日の水柿君が超大金持ちのお嬢様と、なぜかドライブに行く羽目になったところ。
このお嬢様、水柿君が好きだったのかどうなのかよくわかりませんが、大きな紙袋を3つもかかえてきて、ドライブ中にその中に入っている服に着替えなければ気が済まない。
実に3回もお色直しをしたそうで、その着替えができる場所が見つかるかばかり心配しているので、ドライブにならなかったらしいです。
また、個性ある先輩や上司がいっぱい出てきます。
実在の人物なんでしょうねぇ、きっと。
水柿君と奥様の須摩子さんとのやり取りものほほんとしていていいです。
水柿君と結婚するなど、相当の忍耐の持ち主か、もしくは自分も変わりものか・・・。
この須摩子さんがミステリー好きだったのが、水柿君が将来ミステリーを書くようになるきっかけなのでしょうか。
水柿君は、須摩子さんと出会わなければたぶん一生結婚できなかったでしょう。
偶然知ったのですが、これシリーズものだそうです。
よくこんなゆる~いものを、出版社もシリーズにしようと思うものです。
勇気ある決断です。
綾辻行人先生の「どんどん橋、落ちた」とはちょっと違いますが、絶対作者のお遊び系です。
森先生のファンの方なら、ミステリーとまた違った一面をうかがえる、必読の作品だと思います。
森博嗣=ミステリーと思って、本格ミステリを求めている方にはお勧めいたしませんねぇ。
でも、咲紗はきらいではありません。
ちょっと本格的な読書につかれた方、息抜きにいかがでしょうか。
この本から何か人生の教訓を得ることは出来ないと思いますが。