クマのプー A・A・ミルン
2017年6月25日 森 絵都 訳 角川文庫
言わずと知れたディズニーの「くまのプーさん」です。
1926年に発表され、日本では石井桃子訳の「クマのプーさん」があったそうですが、著作権が切れた関係でどうやら他の訳文でも出せるようになったらしいです。
前回ご紹介した「星の王子さま」もそうでしたよね。
新しい訳文として出版された一冊が今回ご紹介するこちらです。
「プーさんのハニーハント」の中にあるあの絵本の物語がもろ載っています。
訳文がとても読みやすく、かわいらしい文体で書かれていてとてもいいです。
あの黄色いプーさんとこの本の挿絵のプーさんは似ても似つきません。
初めて世に出た時は、もっと違ったとのこと。
息子クリストファー・ロビンが持っていたテディ・ベアから着想されたたそうですが、「ハロッズ」から購入されたものだったそうです。
で、内容ですが・・・はっきり言ってかなり面白くないです。
なんでこんなのが人気だったのか・・・
まず、プーさんがちょっとバカすぎるのです。
クリストファー・ロビンにも「おつむの弱いくま坊」と言われていますが、ちょっとイライラするレベルです。
他のキャラクターも同様です
かわいらしいおバカさんならいいのですが、イラつくのみ。
これは咲紗だけでしょうか?
イギリス人はこういうのが好きなのでしょうか?
ディズニ-のプーさんは、もちろん咲紗も大好きです。ぬいぐるみいっぱい持ってますよ。
プーさんはやはり、ディズニーで見るのが一番だという結論に達しました。
でもこれはあくまでも咲紗個人の感想です。あなたが読んだら全く違う感想を持つかもしれません。
また、人気の作品の裏にはつらい現実があるものですが、この作品も同様でした。
息子のクリストファー・ロビンのために、また彼をモデルにして書かれたものですが、クリストファーはこの本の「クリストファー・ロビン」でいることを世間から期待され、それが彼の人生を不幸なものにしてしまいました。
学校でもいじめられ、仕事も上手くいかず、父親とも死ぬまで確執があったそうです。
本名を出さなければまだ良かったかもしれませんが、思いっきり出され、どこへ行ってもプーさんの「クリストファー・ロビン」がつきまとったのでしょう。
まあここまで人気が出るとは、作者も夢にも思わなかったのでしょうが・・・
これはもうクリストファー本人にはどうしようもないことで、不幸としか言いようがありません。
最後には夫婦でひっそりと本屋を営み、店の奥に静かに座っている人生を送ったそうです。
こういうことは本でもあるし、有名な映画に出演してしまった子役にもよくあることですね。
その役の印象が強すぎ、その後は何をやってもダメ。
大人になることすら認められません。
ミルン自身も、充分有名な状態でプーさんを書きましたが、その前の作品は全て忘れ去られ、プーさんに縛られてしまったらしいです。
ミルンとしては、本業の劇作からはなれてちょっと書いてみたというに過ぎないお話だったそうですが・・・
何が人気になるかはわからないものです。
また、ちょっと「へー」と思ったのですが、プーさんに関する権利はミルンの奥さん、つまりクリストファーのお母さんが、すべてディズニーに売却したそうです。
プーさんは世界中の子供たちを幸せにしましたが、作者とその息子、クリストファー・ロビンは不幸にしたということです。
悲しい皮肉ですね
また、咲紗のもう一つのブログ「咲紗の、輝け!キラキラ毎日」でもこのプーさんとクリストファー・ロビンのことについてコラムを載せています。
良かったらお読みください。
「クマのプーさん ミルンとクリストファー・ロビン」2020年2月2日投稿
https://sashakirakira.com/wp-admin/edit.php?paged=3