ペルシャ猫の謎 有栖川 有栖
2002年6月15日 講談社文庫
表紙の猫がかわいくて、ついつい買ってしまいました。
火村英生とアリスシリーズの短編集です。
相変わらず普通・・・かな。傑作というわけでもないけど決して駄作ではない。
可もなく不可もなく、といったところでしょうか。
「赤い帽子」はなんと火村とアリスが出てきません。
あとがきによると、発行元は大阪府警の、そこに勤務する人だけに向けられてつくられた社内雑誌「なにわ」に掲載されたものだそうです。
そういう雑誌、あるんですね。ちょっとびっくりしました。
他にどんな作家が載せているのでしょうか。ちょっと見てみたい気もします。
「ペルシャ猫の謎」はネコがかわいいのですが、結末は
「え、マジで言ってんの、これ・・・?」という感じです。
有栖川先生自身も、この結末で読者がどんな気分になるのか考えた、と書いていますので、冒険作ではあるのでしょう・・が・・・
う~ん・・・・・
推理小説にこの結末は果たして許されるのでしょうか。
綾辻行人先生の「どんどん橋、落ちた」に通じるものがあるかも。
・・・ま、いっか。楽しめれば。
ただ、書き方がやはりうまいですね、それなりに読ませてしまうところはさすがです。
「悲劇的」はすごく短い話ですが、ちょっとこれは気に入りました。
「へぇ・・・」と思いました。(この「へぇ」にはいろんな感慨が含まれています)
最後の一行が秀悦です。
なるほど、と唸らせます。
このシリーズ、大阪が舞台なので日村以外は全員関西弁なのですが、関西弁というのは活字にしてしまうとどうも読みにくいです。
なんか下品に感じてしまうんですよね。
咲紗も今は千葉に住んでいますが、関西出身の正真正銘関西人。標準語と関西弁のバイリンガルです。
でもなんか、活字にすると関西人咲紗でも読みにくいんですよね。
イントネーションがついついなまってしまうので、関西弁じゃないところまでもそのイントネーションで読んでしまい、なんかだんだんおかしな具合になっていくのです。
関西弁はやはり、耳で聞くあの軽やかな音楽のような流れが一番いいのだ、と思うのは私だけでしょうか。
このシリーズ、まだまだ咲紗は全然読み切れていないのですが、いっぱいあるんですよね。
火村とアリスシリーズの他にもいろいろあるのに、全然読めてないーー。
ああ、もっともっと読まなければ、日本一の読書家などにはなれません。
まだまだ修行が足りない咲紗でした。