咲紗の、本とチワワとコーヒーと ~愛すべき本たちとの日々~

読書大好き咲紗が、読んだ本の感想やご紹介をしていきます

白い犬とワルツを   テリー・ケイ

1995年3月25日 第1版 新潮社  兼武進 訳

こんにちは、咲紗(サーシャ)です。

前に読んだ「模倣犯」があまりにも悪意に満ちていたので、ほのぼのとしたものを読みたいと思い、手にした作品です。

2匹のチワワが家族の仲間入りをしてから、動物ものに興味がわいてきました。ほのぼのしたいなら、動物ものがいいですよね。

日本でもかなり話題となり、アメリカの話なのですが、日本に設定を変えて映画化もされた作品です。

妻に先立たれた主人公のもとに、ある日白い犬が現れます。

この犬、不思議なことに主人公以外の人の前にはなかなか姿を見せないのです。だからといって、別にこの犬が幻というわけではないのですが。

主人公と白い犬の奇妙な共同生活が始まりますが、この犬の姿を見ることのない主人公の子供たちは、父親が寂しさのあまりぼけたのではと心配します。

しかしこの主人公、子だくさんです。ええと、数えてみると七人、しかも一人亡くなっているそうなので、奥さんが生んだのは八人!

すでに結婚している二人の娘が、主人公の家のすぐ近くに住んでいますが、この二人はもちろんのこと、近くに住んでいない子供たちも全員、これ以上にないくらい父親想いです。

子供たちの親孝行、愛情の深さには感動します。

なのにこの主人公、こんないい子供たちを持っているのに、わざとぼけたふりなんかしちゃってからかい、「これはゲームだ」などと楽しむなんて、ちょっと日本人の感覚では考えられないですね。

あまりいい趣味とは思えませんが、これもアメリカらしいということなのでしょうか。

主人公が見つけた新たな楽しみは、この白い犬と踊ること。

彼は楽しみますが、親孝行な子供たちの心配と不安は、ますますつのるばかり。本当にこの子供たち、優しすぎます。主人公は幸せですよね。

そして主人公はこの犬を連れて、妻の思い出を胸に、ボロボロの愛車(トラックですが)に乗って大冒険の旅に出ます。主人公にぴったりと寄り添う白い犬がかわいいです。

主人公にとって、この犬は妻の化身のような存在でした。実際、本当にそうなのだと信じていました。

全体的に、おだやかで心温まる作品です。悪人は一人も出てきません。充分、ほのぼのできました。

白い犬が姿を消すシーンでは涙がこぼれましたし、ラストにも涙しました。

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