咲紗の、本とチワワとコーヒーと ~愛すべき本たちとの日々~

読書大好き咲紗が、読んだ本の感想やご紹介をしていきます

模倣犯(上)(下)宮部みゆき  

  2001年4月20日 第一版  小学館

こんにちは、咲紗(サーシャ)です。

長い!長すぎる!メチャメチャ長い!本が重い!分厚い!

内容も重いが、実際に本が重い~!

持って読むと、腕がプルプルする~(>_<)

何の修行なんでしょうか、いったい・・・

読むのに三週間もかかってしまいました。スキマ時間を必死に活用し、がんばって読みましたが、三週間・・・

この作品は連載もので、四年かかったそうですから、そりゃ長いわけです。

宮部みゆき先生の作品の中でも人気が高く、映画化もされたので、内容はご存じの方も多いと思います。

連載物だったから仕方ないのかもしれませんが、余計なエピソードが少し多い気がします。明らかにここはいらないだろう、というシーンが多々ありました。

ただ、さすが宮部みゆき先生というべきか、登場人物一人一人が実に個性を持って生き生きと描かれています。そしてとても読みやすいです。

この犯人の奴らは徹底的なくず野郎どもで、読んでいて腹立たしさのあまり、何度も休憩したほどです。

犯人以外にも悪人が多く、読んでいてイヤになります。

宮部先生自身も、模倣犯を書かれた後、現在社会の闇を書くのに疲れてしまったとおっしゃったとか。その後、ファンタジーや時代小説に重点を置かれるようになったそうです。

そりゃ、この作品を四年もかけて書いたら、疲れ果ててしまったでしょう。

それくらい、内容が重くて重くて(本自体も重かったですが)、相当の覚悟がないと読むのがつらい作品です。

ちなみに私は宮部先生のファンタジーと時代小説の大ファンです。これらの作品も、どんどん感想を載せていきたいと思っています。

これだけ重く暗い作品ですが、そんな中でも、心惹かれた登場人物がいました。

有馬義男と水野久美ちゃん。

有馬義男の一言一言が、実にまっすぐに心に響いてきます。彼の言葉には重みがあり、真実があります。

嘘しか言えないピースとは真逆です。

水野久美ちゃんは、このあまりにも暗く重い世界観の中で、唯一陽だまりの中に咲くたんぽぽのような存在です。彼女が出てくるとホッとします。

一方、犯人の一人ヒロミは、幼い頃から、赤ちゃんの時に死んだ姉の存在に脅かされています。

また、親も親ですね、死んだ娘の名前をそのまま弟につけるなんて。

それだけが、彼を大量連続殺人に走らせた原因とは思えませんが、きっかけになったことは確かでしょう。

彼は彼で、理不尽な親の仕打ちの被害者だったのかもしれません。

しかしこの姉も、また親の被害者でありました。

最後は、苦労して読んだかいあって若干すっきりしますが、それでも孝明の担任だった先生の悲しい言葉と、有馬義男の悲しい叫びが訴えるように、殺された人たちが帰ってくるわけではなく、被害者遺族も心の傷がいえるわけではありません。

理不尽なことの多いこの世の中について、いろいろと考えさせられる作品でした。

ちなみに、もしこれから読もうとお考えの方は、文庫本で読まれることをお勧めします。(軽いです)

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