ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以後④ 塩野 七生
さて、続きです。
ものすごく突然ですが、オリラジ中田さんがYouTubeで言っていたのですが、カエサルは生まれた時、お母さんのおなかを切って生まれてきたそうです。
そこでカエサルにちなんで、そのような出産のことを「帝王切開」と呼ぶになったのだそうです。
いや~、知りませんでした。中田さん、ありがとうございます。
それはともかく、浅はかな考えで稀代の英雄、ユリウス・カエサルを暗殺した愚かな暗殺者たち。
しかし彼らは、自分たちのしたことはローマ市民に受け入れられると思いこんでいました。
ところが市民も、カエサル指揮下の兵士たちも激怒し、暴動が起きました。
びっくりした暗殺者たちはローマから命からがら脱出。
一方、カエサルの遺言状が公開されましたが、そこには意外なことが書いてありました。
それは、自分の後継者には、妹の孫である、当時18歳のオクタヴィアヌスという少年にするというものだったのです。
ローマ市民の反応は一様に、「誰?それ」でした。
まだ18歳ということもあって全く無名の少年であり、カエサルは次の戦役に彼を連れていく予定にしていたところ、その前に暗殺されてしまったので、名を知らせる機会を失っていました。
自分こそが後継者だと思っていたアントニウスは深く失望しました。
そして同時に、オクタヴィアヌスから後継者の地位を奪い取ってやるという野望を抱きました。
このオクタヴィアヌス(長い名前だな・・・)、遺言の内容を知らなかったのでびっくりしたらしいですが、カエサルが見込んだだけあってなかなかの才のある人物なのです。
一方のアントニウスは、武将としての才能はありましたが、その他のこととなると、どちらかというとアホ極まりない、という男でした。
キケロが「彼は見かけも脳みそも剣闘士並みである」といったそうです。
なんか、剣闘士にとっても失礼な気がしますが、要は、顔はイケメン、身体もギリシア彫刻のように美しかったのですが、頭の中身はスカスカだったのです。
しかし意地悪だけはいっちょ前。様々な嫌がらせをオクタヴィ・・・(ああ、めんどくさい)にしますが、彼はそれをうまく切り抜け、逆にローマ市民の人望を得ていきます。
キケロにも抜け目なくお世辞を言っておだてておき、お人よしのキケロは有頂天。
しかしこのオクちゃん(略しちゃえ)、結構残忍な性格だったのですよ。
許すことをモットーとしたカエサルとは真逆に、オクちゃんは復讐の鬼と化します。
処罰者名簿をつくり、カエサル暗殺者たちは殺されたり、自殺に追い込まれたりしました。
そして、直接手を下したわけではなかったのですが、元老院派であり暗殺者たちに影響を与え、暗殺実行後も彼らをかくまったキケロは、名簿の筆頭に挙げられました。
あれほどおだてておきながら、キケロが筆頭に上がった時、オクちゃんは無表情でキケロを処刑することを命じました。
キケロは、もはやこれまで、とその処刑を受け入れ、人生を終えました。
オクちゃんに反してアントニウスはローマでの評判を落としていきます。
オクちゃんの才を見抜けず、甘く見たのがそもそもの間違いでした。
さあ、そしていよいよアントニウスはクレオパトラに出会います。
カエサルの愛人だった時会ってはいたようですが、自分が主としてエジプトの女王に合うのは初めてでした。
さあ、ここからクレオパトラ&アントニウス対オクちゃんの戦いが始まります。
それはまた、次回に続きます。