大草原の小さな家② ローラ・インガルス・ワイルダー
1972年8月10日 恩地三保子訳 福音館書店
前回から続きます。
ローラの生きた時代は、今から150年近くも前のこと。
今の大都会アメリカからは考えられないような生活環境です。
ネイティブアメリカンとはこうだったのか、ということがわかります。
家の中に入って来てはいろいろ取っていってしまったり、夜タイコをたたいていたり、大行進をしたり・・・
ネイティブもやはりその族長となると、非常に威厳に満ちた人物だったようです。
とうさんかあさんはいい人ではあるけれど、ネイティブに対する考え方は、やはり当時の白人のそれです。
土地は当然、白人のものだと思っています。
このとうさん、TVでは素晴らしい人物として描かれていて、もちろん実際もとてもやさしく、困っている人は助け、働き者で家族も大切にし、メアリーもローラも尊敬していて大好きですが、放浪の旅を繰り返し、一家をあまり裕福にしなかったところを見ると、やはり何かが欠けていたのではないか、と思います。
とうさんはこの大草原で苦労して、一から家や何もかも作り上げ、ネイティブたちが移動し、畑も作り始めようやく良くなってくるというときに、軍隊が来て移住者を追い出すといううわさを聞きます。
それだけで、噂の真偽を確かめもせずに、犬のように追い立てられるのはごめんだと何もかも捨てて、あっという間に大草原からの移住を勝手に決めてしまいます。
せっかく手に入れた2頭の牛まで捨てて、どこへ行くという計画も立てないまま・・・
自分のプライドだけを優先させているような気がしてなりません。
かあさんはがっくりして、口もきけず座り込んでしまいますが、言っても無駄だとわかっているのでしょう、とうさんに意見することはしません。
でもきっと苦労が多かったに違いありません。
家の中の説明や、とうさんの作ったものの説明が書いてはありますが、読んだだけではどういうものかさっぱりわかりません。
でも挿絵を描いた人が、実際のローラに会ったり、その場所を取材したりして絵を描いたそうで、そのおかげで様子がよくわかりました。
実際のこの一家、とうさんは放浪生活がたたったのか、割と早く死ぬらしいです。
一番かわいそうなのは、やはりメアリーでしょう。
失明し、母さんとひっそりと家の中に閉じこもって暮らしたそうです。
TVのメアリーは、それでも幸せな結婚をしますが、実際はしなかったとのこと。
ローラも農家のおかみさんになりますが、苦労が絶えなかったそうです。
三女キャリーは結婚しますが、子供はおらず、かあさんが死んだあとはメアリーの面倒を見たとか。
この自然の中の土地を求めての放浪生活は、決して一家に幸せをもたらしはしなかったようです。
時代というものもあるのでしょうね。
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