迷路館の殺人<新装改訂版> 綾辻行人
初刊 1992年9月15日
新装改訂版 2009年11月13日 講談社文庫
何度も読み返したい・・・(^^♪
こんにちは、咲紗(サーシャ)です。
さて、今回は、綾辻行人先生「館」シリーズ第3作目、「迷路館の殺人」です。
まずこの作品、非常に凝った作風となっています。
推理作家「鹿谷門実」(さあ、この人誰でしょうか)のデビュー作として、実際に彼の本を読んでいるかのような書き方になっており、犯人を特定し事件は解決し、彼のあとがきまであります。
そして、最後お決まりの、出版社の名前やら発行日やらが出てきて、ハイ終わり。
・・・と思いきや、そこまではあくまでも鹿谷門実の作品にすぎず、実際の殺人事件の解決、そして綾辻先生の「迷路館の殺人」のラストは、まだまだ先にあるのです。
気を抜くと、一瞬だまされてしまいます。下手をすると、本当の結末を読まずに「よし、読み終わった」と思って満足してしまうかも・・・
アガサ・クリスティーの「アクロイド殺し」のトリックが、フェアかアンフェアかで論争になったそうですが、この作品も正にフェアかアンフェアか、といったところでしょうか。
「えっ!これってあり?」と思わず叫んでしまいます。
「十角館の殺人」と同様、まず映像化にはできません。文章のいたるところに巧みにだましが隠されており、文章自体が既にトリックなのです。
私達読者は、この作品を読み始めたところからすでに、綾辻先生に騙され、いい意味で手玉に取られているのです。
でもこの犯人、ちょっと殺しすぎの感がありますね。残酷でやり切れません。
しかし、このラストのどんでん返しの見事さ、さすが「館」シリーズ、ファンを裏切りません。
ところで、「館」シリーズの探偵役、島田清は折り紙の名人。器用にちゃちゃっと折って、なんと悪魔を作ってしまいます。いったいどんなんなんだと思っていたら、最後の方に実物の写真が載っていました!
すごい!細かい!ほんとに悪魔だー!こんなのを実際に作れるなんて、天才ですね。
この作品も、充分満足させてくれました。
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