咲紗の、本とチワワとコーヒーと ~愛すべき本たちとの日々~

読書大好き咲紗が、読んだ本の感想やご紹介をしていきます

水車館の殺人<新装改訂版> 綾辻行人

      初刊 1992年3月15日

      新装改訂版 2008年4月15日  講談社文庫

こんにちは、咲紗(サーシャ)です。

じとじとと、うっとうしい雨が続いていますね。こんな日はひたすら家で読書に限ります。

さて、綾辻行人先生の「館」シリーズ第2弾、「水車館の殺人」です。

読んでいて、男性ってこういう女性が好きなのかなぁ、と考えてしまいますね。

徹底的に世間知らずで、館に閉じ込められて育ったガラス細工のような美少女・・・。(実際には善悪の区別が全くつかない、始末に負えない女なのですが)

周りの男性達は彼女の愛を得ようとし、彼女に翻弄され、彼女中心で事件が回っていきます。

最初から、かなりショッキングなシーンで物語は始まります。そして、それから1年たち、事件関係者がまた水車館に集まったところで、再び殺人事件が起こる・・・。

建築家、中村青司の建てた、人里離れた場所に建てられた風変わりな「水車館」に、風変わりな館の住人達。

ありえない設定だと思いつつも、その面白さに最初からぐいぐいひきつけられていきます。

実は犯人の検討は早くからついていましたが、その他に大きな謎があり、かなりびっくりさせられました。

いろいろな謎を織り込んでストーリーを創っていくところ、さすが綾辻先生です。

ラストシーンは、あまりの運命の皮肉と残酷さで、非常に印象に残ります。綾辻先生もあとがきで、書いていた本人もこれには驚いた、と供述しています。でも、ある意味とても幻想的で美しいシーンとも言えるでしょう。

この「館」シリーズ全体に言えることですが、建築家「中村青司」は、基本的には一度もその生きた姿を見せることはないのですが、しかしながら、彼は自分の設計した館のどこかに潜み、事件の全貌を皮肉な目で見守っているのではないか・・・そんな気がします。

彼の建てる館って本当に変わっていて、実際にこの目で一度見てみたいものだと思いますね。

どの作品も、表紙に素敵な挿絵が付いていて、この挿絵で館の様子をなんとなく知ることができるのですが、こんなのが実際に建っていたら、その中を見ることができたら・・・と思ってしまいます。

こちらも、十分に満足させてくれる一冊です。