午前零時のサンドリヨン 相沢 沙呼
2009年10月15日 東京創元社
第十九回鮎川哲也受賞作だそうです。
本の最後に選考委員の選評が載っていました。
委員の中には、何と島田荘司先生がいらっしゃいます。
読んでみると、内容はとても良かったと思います。
細かいところまで深く考えられているし、マジックをテーマにしているのも面白いです。
が、主人公の高1の男の子、彼の一人称なのですが、この子がどうも・・・
おかまチックというかなんというか・・・しゃべり方、考え方が女っぽいです。
こういうのをオトメ男子というのでしょうか。
ていうか、男の子はこんな風に考えないのでは?
男の子が書ききれていないのではと思いましたが、選考委員は誰もそのことに触れません。
ところが、この作者、男性であることが判明。
名前からてっきり女性だと思っていました。
となると、話が違ってきます。
この男の子の書き方も計算されたものということになります。
するとやはり、かなりレベルの高い作品なのだということがわかります。
島田先生は、安全な愛玩動物的男子と表現しています。うまいこと言いますねぇ。
その彼が同じクラスの女の子のマジックをする姿を偶然見かけ、ぐいぐい彼女にひかれていきます。
こういうところは「Another」に似ています。
なんとか彼女と話をしよう、近づこうとしますが「Another」の恒一より断然オトメチック。
なんとか彼女と話をしよう、近づこうとしますが「Another」の恒一より断然オトメチック。
よく初(うい)ちゃんは、このオトメを気味悪がらないもんです。
マジックはとても面白いですが、一歩間違うと、それを超能力だの霊能力だのとうそを言う人間も現れます。
最後には怪しまれ、身を滅ぼすのが常です。
Mr.マリックがTVの「しくじり先生」でその苦悩を明かしていました。
自分はただのマジシャンであるのに、超能力者扱いされ、一度味わった栄光を手放すのが怖くてマジシャンだと打ち明けることができなかったそうです。
たしかにマジックと超能力とうその境界線って、あいまいで難しいと思われます。
初ちゃんもマジックとうその間で苦悩します。
マジックは好きだ、でも注目を浴びたいただの嘘つきなのではないか・・・。
ところで、サンドリヨンとはシンデレラのことだそうです。
なんか子供のころに聞いたことがあります。
ほかの国ではまた違う呼び方があるらしいですね。
シンデレラってそもそも何語なんでしょう?
しかし、本を書く、そして一人前と認められるっていうのは大変なんですね・・・。
この作者、その後も活躍なさっていますが、賞を一回とって後は消えてしまう作家も多い中で、素晴らしいと思います。
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