ICO -霧の城ー (上)(下) 宮部みゆき
2010年11月12日 第一版 講談社文庫
こんにちは、咲紗(サーシャ)です。
久しぶりにファンタジーを読みました。
面白い!夢中になってしまいました。
この作品は、ゲームを小説にしたものらしいのですが、ゲームを知らなくても最高に楽しめます。
深い深い物語でした。
主人公、イコが生まれたトクサの村では、何十年かに一人、頭に角を持った子供が生まれてきます。
これはニエ、つまり生贄の印。その子が十三歳になると、「霧の城」へ行かなくてはなりません。
霧の城へ行き、城の一部になって永遠の命を与えられるという・・・。
しかしその実態は誰も知りません。
ニエの子は村長に育てられ、実の親は村から追い出されるという徹底ぶり。
ニエの子は、この運命から逃れることはできません。もし逃げようとしたら、村全体が石に変えられてしまうのです。
イコは、このニエの子として生まれ、自分の運命を受け入れ、村を守るため霧の城へ行く覚悟を決めています。
ところが、イコの幼馴染のトトがちょっとした冒険心から、石に変えられてしまった村で偶然にも「光輝の書」という本を手に入れます。
その代り、霧の城の魔女の呪いにかけられてしまったトトは、石に変えられてしまいます
しかし、このトトの命がけの行為がイコの命を救うことになります。
迎えに来た神官に連れられて霧の城に到着したイコは、「光輝の書」のおかげで城の呪いから救われ、そこで大きな鳥かごにとらわれていた、一人の美しい少女と出会います。
彼女の名はヨルダ。もう気が遠くなるほど長い時を捕らわれの身として過ごしていましたが、その正体は霧の城の王女様であり、魔女の娘でした。
遠い昔は、人もたくさん住んでいて繁栄していた霧の城も、今では何もかもが呪われ、そこに住んでいるわずかなものも全て呪われています。
その者たちは呪われた時をただやり過ごすのみ。何もかもがつらく悲しい場所でした。
しかし、その中でも一番つらい運命を持っていたイコが、その運命と戦い、ヨルダを守るため、強く道を切り開いていきます。
その姿は読んでいてとても勇気づけられます。
どんな運命でも、それに逆らい自ら切り開いていく・・・なかなか難しいことですが、イコの姿を見ているとその大切さを思い知ります。
辛い時、悲しい時に読んでいただくと、きっと勇気が出ると思います。
お勧めの一冊です。
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