魔法使いの嫁②③ ヤマザキ コレ
2014年9月25日・2015年3月25日 MAG Garden コミック
久々の続きです。
チセというスレイ・ベガ(夜の愛し仔)を買ったことで、教会から3つのペナルティを受けたエリアス。
その一つは、ドラゴンの巣の様子を見に行くこと。
そしてもう一つ、ネコの多い町ウルタールにて穢れた「澱み」を浄化すること。
ここでチセは、悪魔のような魔術師に騙された悲しい夫婦の霊に出会います。
身体の弱い妻、ミナに合う薬をつくるとだまされ、その材料となるネコを虐殺し続けるマシュー。
薬は出来ましたが、あまりの強さにそれはミナの体を一瞬で溶かしてしまいます。
発狂したマシューは澱みとなり、いまだ成仏できずマシューの澱みのそばにいるミナとともに苦しみ続けています。
そんな2人のため、チセは妖精の力を借りながら魔法を使って助けようとします。
そして3つめ。近くの教会に住み着いたブラック・ドッグ(チャーチグリム)が無害なモノかどうか確かめに行くこと。
そこでチセはそのブラッグ・ドッグの悲しい過去を知り、ミナとマシューをだました魔法使いと対決します。
ブラッグ・ドッグは、チセによって「ルツ」と名付けられ、チセの使い魔となって、いつも側にいてチセと行動を共にするようになります。
こいつ、なかなか良い奴です。
内容的にはハードですし、悲しい話が多いですが、全体的に静かな印象です。
そして、魅力的な登場人物たち。
魔法の道具をつくってくれるアンジェリカ。
ドラゴンの巣の管理者で、見た目は若いけどすごく長命なリンデル。彼はエリアスの先輩なようです。
かわいいドラゴンの子供たち。
その生を全うして、死にゆくドラゴンのネヴィン。ドラゴンは死して自然のものになります。彼は木になって、その枝でチセの杖をつくることになります。
この辺、ハリー・ポッターみたいですね。
エリアスとはあまり仲が良くなさそうな魔術師のレンフレッドと、その弟子のアリス。最初アリスは男だと思っていたのですが、話が進むにつれ、あ、女だったと判明。
しかもレンフレッドに恋をしていて、その一途な想いがとってもかわいいのです。
レンフレッドもまんざらでもない様子。そこがどうやら悪の魔法使いに付け込まれてしまった原因のようです。
妖精女王のティターニアと、その夫オベロン。
みんな、チセにとっても優しいのです。チセがスレイ・ベガだからなのか、エリアスの影響なのかわかりませんが。
そして自分の居場所を見つけるチセと、チセによって人間というものを理解しようとするエリアス。
イングランドの豊かな自然の中で、妖精たちと過ごす日々。
全体的に静かで優しさにあふれた作品です。