34歳でがんはないよね?-あるジャーナリストの揺れる心の軌跡 本田 麻由美
実は、仕事の関係でこの著者の方の講演を聞く機会があり、その事前学習としてこの本を読みました。
この本田麻由美さんは、読売新聞の記者。
34歳の時に乳がん、しかも「粘液がん」という特殊なタイプのものを発症されました。
合計3回の手術に抗がん剤、放射線治療、ホルモン治療と、様々な治療を経験された本田さん。
がんというのは、人それぞれ違っており、型通りの治療というわけにはいかないのが現実です。
本田さんは、がんのことを調べ、新聞記者の人脈を生かしていろんな医師のセカンドオピニオンを受け、自分の治療を模索していきます。
その行動力はすごいものがあります。自分の治療は自分で納得いくものを、というその精神に頭が下がります。
そしてなにより、旦那様が素晴らしいです。優しく、彼女と一緒に苦しみを共にし、サポートしていく姿は感動的です。
ただ一つだけ、やはりこの方新聞記者という立場が非常にプラスになっています。
普通なら、こんな立派な先生方にセカンドオピニオンなど、こんなに簡単に受けられないでしょう。
お医者さんたちも、相手が新聞記者だから下手なことを書かれたくなくて優遇している、という気がしなくもありません。
同僚の意見では、東京のど真ん中ということもあるのでは、とのこと。
たしかにそうかもしれません。地方だともう少しセカンドオピニオンに対する考え方も閉鎖的なのでは、と思います。
この本田さんは、今元気に活躍していらっしゃいます。
ということは、この方がいろいろと模索しながらやってきたことは、決して間違っていなかったということになりますね。
不勉強で知らなかったのですが、ホルモン治療というのは抗がん剤治療や放射線治療より軽視されがちですが、副作用は同じように激しいものだそうです。
がん保険でも、ホルモン治療の給付金はほかの治療より少ないので、てっきり治療の中では一番軽いのかと思っていました。
全然違うのですね。やはり治療というのはどれも苦しいものなのですね。
抗がん剤の副作用も、昔よりはだいぶ良くなったそうですが、やはり副作用があることには変わりありません。
がんの治療はどんどん進化し、現在は入院よりも通院で治療することに重点が置かれています。
今は2人に1人ががんになる時代。治療をしながら仕事もし、人生も楽しんでいこうということですね。
がん保険も以前の入院給付金重視タイプでは賄えなくなってきています。通院タイプのものが今どんどん出てきていますので、見直しが必要な時代になっています。
それに緩和治療も進んでいますが、少しでも治療の苦しみが軽減できればいいのですが・・・。それを願うばかりです。