劇場 又吉直樹 新潮文庫
う~ん・・・・ちょっと・・・・これは・・・・
主人公の男がクズ過ぎるんですけど!!!
こういう男、一番嫌いなタイプだなぁ・・・・
演劇の脚本を書いている主人公と、その才能を信じて支える、天使のような女の子、沙希。
もちろん脚本は不評で、全然食べていくことができません。
なにぶん、この主人公の性格が悪いので、脚本もはっきり言ってよくない。
どうしようもないクズなのです。
まあ、読んでいて、まずこの脚本の芝居を見たいとは思わないですねぇ。
変わっているというかなんというか・・・
ああ、これでは一生だめだな、という感じです。
独りよがりで、人の心を打たないのです。
それにくらべて、この沙希ちゃんの、何といい子なことか。
このクズ男にはもったいなさすぎる。
彼の才能を信じて、懸命に支えますが、主人公には沙希の気持ちを理解することは出来ません。
沙希はだんだん追い詰められていきます。
周りの友人たちは、2人を別れさせようとします。
しかし、本来ならこんなクズの話、読むのはさっさとやめてしまうところなのでしょうが、さすがそこは又吉といったところでしょうか。
なぜか読んでしまうのです。
主人公の心の動き、そして2人の関係が見事に書かれています。
が、この主人公、まず一生成功することはないでしょう。
「火花」のお笑い芸人も、人はいいのですが、まず成功することはないですし、こういうタイプの人たちには破滅が待っているだけです。
そんな中で、主人公も、「火花」のお笑い芸人も、必死でもがきますが、もがいてももがいても這い上がることは出来ないのです。
切なくて、苦しいですね。
そんな必死でもがいている人たちの心の機微を見事に描き切る又吉は、さすが実力者ですね。
非常に力作だと思います。
ただ、読む人を選ぶ作品ではあると思います。
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