眼球堂の殺人 周木律 講談社文庫
メフィスト賞受賞作にして、このシリーズの第一作。
そして、まさにどんでん返し作品として申し分ないでしょう。
見事などんでん返しでした。
この作者は、建築学科卒だそうで、この作品のテーマも「建築」となっています。
バリバリ理系ですが、まだそこまで難しくは書いていなかったので、ほっと一息。
「館」をモチーフにしており、そこに集められた人々、一風変わった館の主、そしてそこに殺人事件が起こるという、綾辻行人風の展開です。
主人公は、世界中を放浪している天才数学者、十和田。
自由でいいですねぇ。
そして、彼のことを取材したいがために彼についていく睦子と共に眼球堂に招待されるのですが、眼球堂の主は、天才建築家と言われる驫木。
そしてそこに集められた人々は、各界での著名人たち。
一風変わった造りの眼球堂・・・。
そして、ついに殺人事件がおきてしまい・・・・
でもこれ・・・招待客、死にすぎです。
欲もここまで何人も殺せるものです。
そして頭のいい人の殺人の動機とは、極めてはっきりしないことが多いですね。
森博嗣著「すべてがFになる」でもそうでしたが、頭が良すぎて何が目的なのかさっぱりわかりません。
こんなに殺して、良心の呵責もないのでしょうか。
でも、最後のどんでん返しは強烈です。
いや、この人物はもしかしたら何隠してるのかも・・・と思っていたのですが、まさかこんなことになろうとは・・・・。
そして思った以上に残虐です。
そしてこの館自身の持つ秘密にも驚かされます。
前述した「すべてがFになる」も、「図書館の魔女」も受賞作です。
印象的なシーンがありました。
主人公、十和田がこんなことを言います。
「生まれてから死ぬまで、僕らは神が用意したゲームの盤上で踊らされている。もし僕らが人生で悪いことをすれば、神に2点入る。為すべき善行をしなければ、神に1点入る。人間がゲームで得点する方法はない。
だが、良いことのみをし続ければ、点を取れなくとも、このゲームを0対0の引き分けに持ち込むことができる。それが神のゲームのルールだ」と。
なるほど。そうなのか。
神ってずるいですねぇ。人間が勝てることは、当然ながら絶対にないわけです。
とはいえ、このシリーズ、これから十和田がどうなっていくのか気になります。
ああ、また、気になるシリーズ物が増えてしまいました・・・・。
このシリーズ、表紙がとっても印象的でかっこいいですよね。
正に理系。シンプルで知的なデザインが気に入りました。
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